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緋月の空間 漆黒の心

緋月の空間 漆黒の心

時間(とき)

「幼子よ…我が声の聞ける幼子よ…約束の時間(とき)が来た。我が名を呼べ!さすれば道は開かれる。世界の扉は開かれる。」

16の誕生日を迎えてから毎日の様に闇の中から喚(よ)ばれる。

「お前は一体誰なんだ!!それから、何故私を喚ぶ!!私はお前の名など知らない」

「…忘れてしまったのか…我の名を…」

私に『幼子』と、呼んだ者は悲しそうに呟いた。

「名を忘れたとはどういうこと?私はお前のこと知らないはず」

「そうか、あの時の事を記憶から消したのか…まあいい、時間は動き出したのだから」

そう言うと闇の中の声は消えた

「時間は動き出した?」

闇の声が言った言葉がとても気になった



幼いとき何処かの森の中で何かを待っていた。

『迷い子か?』

突然頭の上から声が聞こえた。

『あ・あなたは…誰?』

『我が見えるのか?』

頭の木の枝に座っている人に戸惑いながら聞いてみると、声の主はひどく驚いた顔をしていた。

『ふぇ?な・なんで?み・見えるよ?』

慌てて答えたら、枝に座っていた人は笑みを浮かべた。

『そうか…ところで幼子は何をしている?ここは幼子みたいな者が来るべき所では無い。』

空気が張り詰めた

『私は待っているの。自分が見つけられる償いのとき時間を…私は血塗られた歴史を持つ末裔だから…待たないといけない。そして、運命に従い一生償い続けるの』

私が答えたこき枝に座っていた人は一瞬、哀しい顔をした

『そうか、哀しい定めと知りながら血塗られた歴史を償い続けるのか…。幼子お前の名は?』

興味を持ったのか『幼子』と、呼ばれた子の名前を聞いてきた。

『私は…血塗られた歴史を持つ末裔…名乗れる名前は無い…ごめんなさい』

『いいさ、久しぶりに我の姿が見える者に出会えたのだからな。我の名は“時雨”覚えていろ。いつか血塗られた歴史から開放してやる。血塗られた歴史を持つ末裔よ』

そう言うと時雨は姿を消した。

『ありがとう…時雨さん…でも私が血塗られた歴史から開放されることは…きっと無いよ…きっと…』

誰もいない森で一人呟いた。


何日かして時雨に似た人が現れた。その人は冷たい感じがした

『血塗られた歴史を持つ末裔よ償いの時が来た。』

『あ・貴方は?時雨さんに似てるけど…なんか雰囲気が違う…』

『お・お前時雨が、見えたのか…。珍しい、あの時雨の姿が見えたとはな…』

『時雨さんは、普通は見えないものなのですか?』

『ああ…普通は見えないがな…』

『時雨さんも私が見えることに酷く驚いていました…』

『ああ、そうだろうな…まぁそれはいいとして血塗られた歴史を持つ少女…何故お前は時雨から名前を聞けた?』

『気に入ったと言ってました。そして、いつか…この歴史から開放するとも…。』

『…えらく気に入ったんだなあいつは…』

『お願いがあります…時雨さんの名前を封印してもらえないんでしょうか…?』

『なぜ…開放してやると言われたのに隠しておかなかった?言わずに開放してもらえばよかったんじゃないのか?』

『そうですね…でもこのままだと…時雨さんに…つらいことがあったら頼ってしまいそうなので…救われないけど…頼ってしまいそうなので…お願いします…。』

『何故あいつが気に入ったか分かった』


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